高血圧(動脈硬化・脳出血・心筋梗塞・脳梗塞・狭心症)|大阪市北区天神橋の医療法人佐藤内科クリニック

高血圧

高血圧とは

そもそも血圧とは、心臓から送り出された血流が血管の内壁を押す力(圧力)を指します。血圧を決定する主な要因として、心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量や血管のしなやかさ(弾力性)のほか、血液が血管に流れ込む際の末梢血管の抵抗力、血液の粘度などが挙げられます。その他にも、腎臓や神経などの働きや食塩の摂取量も血圧に大きく影響しており、食塩の過剰摂取が血圧上昇と関連が深いことは、広く知られております。
また、からだを動かしたり寒さを感じたりした場合も血圧は上昇しますが、こうした一時的な血圧上昇は、高血圧とはいいません。
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態を指します。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞に繋がりますので早めの予防を心掛けましょう。

高血圧を放っておくと

高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気に繋がることがわかっています。

脳卒中

高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。脳卒中は、脳の血管が破れたり、詰まったりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり、脳の働きに障害が起きる疾患です。「脳血管障害」ともいわれます。
脳卒中は原因により、「脳の血管が詰まるタイプ(脳梗塞、一過性脳虚血発作)」と「脳の血管が破れるタイプ(脳出血、くも膜下出血)」の大きく2つに分けられます。
目安として、収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなるといわれています。
脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。発症してから後悔する患者様を何人も見てきました。「私は関係ない」と放置せずに予防をしましょう。

心疾患

心疾患とは心臓に起こる病気の総称を指します。心疾患の大部分を占めているのが「虚血性心疾患」で、心臓の筋肉(心筋という)へ血液を送る冠動脈の血流が悪くなって、心筋が酸素不足・栄養不足に陥るものをいいます。心疾患を代表するものに、次の2つがあります。

・狭心症

冠動脈が動脈硬化などによって狭くなり、一時的に心筋への血流が不足した状態をいいます。狭心症の発作が起こると、胸痛や息切れ、呼吸困難などが起こりますが、多くは血流がすぐに回復し、症状は1〜2分、長くても15分くらいでおさまります。

・心筋梗塞

冠動脈に血栓ができ、冠動脈が完全に詰まって心筋へ血液が行かなくなった状態をいいます。胸をえぐられるような強烈な痛みで始まり、狭心症のように短時間でおさまることはありません。心筋への血流が途絶えると、その部分の心筋は壊死し、その範囲が広がると心臓の機能が著しく低下し、重症の場合は死に至ることもあります。
心筋梗塞のおもな原因は、冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化によって狭くなった血管に血栓ができて、これが冠動脈を詰まらせます。目安として収縮期血圧が10mmHg高くなると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%も増加します。

慢性腎臓病

慢性に経過する全ての腎臓病のことを指します。日本国内では1,330万人の患者がいると推測されており、新たな国民病と言われています。糖尿病や高血圧などの生活習慣病や慢性腎炎、加齢などさまざまな原因で腎臓の機能が低下してしまった状態です。特に高血圧は腎臓と深い関係があります。腎臓は、血液をろ過して、体内の老廃物や余分な水分を排出するという働きがあります。ろ過機能を円滑に行うためには、全身の血圧を一定に保つことになります。このように腎臓は体内で血圧を調節する役割を担っているため、高血圧の合併症を持っていると、腎臓の働きが低下し、慢性腎臓病の原因になります。慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。

高血圧の原因

血圧が高くなる原因は、「生活習慣の乱れ」と「遺伝等」が関係します。それぞれの原因によって血圧が上がるメカニズムは、変わります。

肥満


肥満になると、大きな体の隅々まで血液をいきわたらせる必要があり、一度に血液を送り出す量が増加するため血圧が上がります。

塩分の摂りすぎ

塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が高くなります。濃度を下げるために水分を体に溜め込み、その結果血液量が増えるため血圧が上がります。

ストレス

ストレスは交感神経の働きを高めるため、心拍数が上がり、結果、血圧が上がります。

喫煙

喫煙は、末梢血管の収縮するため血圧が上がります。

高血圧の状態が続くと、血管壁の内側がダメージを受けてもろくなったり、柔軟さが失われて硬くなります。動脈硬化は全身の太い血管から細い血管まであらゆる血管に起こります。

高血圧の治療

食事療法

塩分を過剰に摂取することは血圧上昇の大きな要因となるため、高血圧症の食事療法は塩分制限が重要になります。
塩分摂取量は食事の内容や量に関係します。普段よく食べる食品や料理などの見直しをしましょう。
また、適切なエネルギー摂取で肥満の改善や予防を心がけることも必要です。適正体重の考え方は脂質異常症ページをご確認ください。

脂質異常症について詳しくはこちら

塩分を控える食事療法

国民健康・栄養調査報告によると平均塩分摂取量は1日10.2gですが、厚生労働省推奨食塩摂取目標量として、1日男性8g、女性7g以下とされています。また高血圧症の患者様は、1日6g未満を目標にすると良いです。
塩分摂取量を少なくするためには、以下のことに注意して食事を摂りましょう。

食事で塩分を減らす方法あれこれ
  1. 練り製品・佃煮・漬物は高塩分につき特に注意
    ⇒「さつまあげ」「はんぺん」「かまぼこ」などの練り製品は実は塩分が高いので注意しましょう。
  2. 汁物の汁は塩分が高いと知る
    ⇒一般的に汁物には塩分が多く含まれています。麺類のだしやスープは量を加減しましょう。味噌汁も1日1杯を目標にすると良いです。
  3. 調味料は「かける」より「つける」
    ⇒ソースやしょうゆを大きな口からドボドボ注いで、ついかけ過ぎてしまうことのないように、「かける」より「つける」を心がけてください。
  4. 新鮮素材を使って、素材の味で減塩
    ⇒旬の食材を摂るようにすれば、食材そのものがおいしいため自然と薄味になります。
  5. かんきつ類(レモン等)や酢の酸味で減塩
    ⇒減塩の正攻法です。塩分を控えて物足りない感じはレモンや酢の酸味でカバーできます。
  6. 減塩食品を使って減塩
    ⇒減塩しょうゆ、減塩味噌など今は便利なものがたくさんあります。同じ分量を使っても無理せず減塩できるなら使わない手はありません。

運動療法

高血圧治療の基本は生活習慣の修正(運動療法・食事療法)と薬物治療があります。運動療法として、運動の頻度は定期的に実施し、運動量は脂質異常症と同様、30分以上、強度は中等度の有酸素運動が一般的に勧められています。運動療法により降圧効果が得られ、高血圧症が改善されます。
詳細は脂質異常症の運動療法をご覧ください。

詳しくはこちら

内服薬治療

高血圧の薬物治療は運動療法や食事療法の非薬物療法を行っても高血圧が続く場合に行います。薬物療法の目的は、高血圧を改善して、臓器障害や合併症を予防することです。
薬物療法を始めるタイミングは、年齢、糖尿病などの合併症、臓器障害の有無などを考慮に入れ、医師が総合的に判断します。もちろん、薬物療法を行いながら、引き続き運動療法と食事療法を継続することが重要です。
医師は年齢、高血圧の重症度、合併症の有無などを考慮し、患者様に合った降圧薬を選びます。医師が適切な降圧薬を選択できるよう、自覚症状や気になることがあれば、報告をお願いいたします。

血圧異常が指摘された方へ

当院では血液検査がその日中に結果がでます。血液検査を元にした正確な診療や患者一人一人にあった診療をご希望の方は、ぜひ当院にご来院ください。
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