新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染症によってあらわれる症状は、人によって様々で、中にはまったく症状があらわれない人いるぐらいです。
その中でも、次の3つの症状は多くの人にあらわれやすいものです。
- 発熱(37.5℃以上)
- 咳
- 倦怠感
他にも以下のような症状があります
- 鼻詰まり
- のどの痛み
- 頭痛
といった風邪に似た症状
- 筋肉痛、関節痛
- 悪寒
など発熱に伴う症状
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
といったお腹の症状
- 味覚・嗅覚の障害
- めまい
- 皮膚の発疹
などその他の症状
重症の場合の症状
- 高熱(38℃以上)
- 食欲減退
- 胸部に痛みや圧迫感が続く
- 呼吸困難
- 錯乱
など
まれに脳や神経の症状が現れることもあります
- 脳炎
- 脳梗塞、脳出血など
- 神経の損傷
- 意識レベルの低下
- 錯乱
- 一時的に意識レベルや認知機能に障害がおこるせん妄
- 不安や抑うつ
- 睡眠障害
- 過敏性
このように多くの症状があらわれることがあります。その中で顕著な症状は、風邪やインフルエンザと似ており、症状だけで新型コロナ感染症かどうかを切り分けることができず、検査が必要となります。
少しでも感染が疑われるような場合は、すみやかに当院までご相談ください。
新型コロナウイルスの検査
抗原検査
鼻の奥から専用の綿棒のようなもので粘液を採集して行い、結果は当日中に分かります。
PCR検査と比べて手軽に検査が可能です。検査をご希望の方はお気軽にご相談ください。
PCR検査
PCR検査はウイルスの遺伝子が発見されるかどうかによって、検査時点での感染の有無を判断する方法です。新型コロナウイルスの場合、唾液や鼻腔、鼻咽頭(鼻の奥からのどの部分をぬぐう)から採集した検体を使用して検査を行います。
「新型コロナウイルスかも?」と思ったら(対処法)
新型コロナウイルスへの感染が疑われる、熱が高い、風邪のような症状がある、味覚や嗅覚がおかしいといった体調の変化がある場合は、かかりつけ医に相談することが大切です。診察や検査が可能であれば、その医師の指示に従って受診してください。
特に普段診てもらっているかかりつけ医がいない場合は、お住まいの地域の自治体の相談窓口に電話にてご相談ください。窓口で必要性が認められると、診療や検査が可能な医療機関を紹介してもらえます。
いずれの場合でも、電話連絡無しで直接かかりつけ医を訪ねたり、はじめての病院を訪ねたりすることは、感染を広めてしまう可能性があるため危険です。必ず電話によって相談してから行動してください。
インフルエンザウイルス
インフルエンザの症状
インフルエンザは感染すると1~3日程度の潜伏期間の後、突然の高熱(一般に38℃以上)にのどの痛みや鼻水、倦怠感、悪寒、筋肉や関節などの痛み、頭痛といった症状があらわれます。インフルエンザの症状は風邪と似ていますが、より症状が強く、また急激に進行する傾向があります。
特に、持病のある方、高齢者、乳児や幼児、妊娠している方などは重症化しやすい傾向がありますのでお早めに受診してください。
インフルエンザの検査と診断
インフルエンザが疑われる場合は検査を行います。一般的には専用の綿棒のようなもので鼻腔をぬぐい、粘液を採取して検査キットで処理します。感染の有無は15分程度で判明しますが、感染から半日から1日程度を経ていないとウイルスを検出できないケースもあります。検査結果が陰性でもインフルエンザが疑われる症状が出ている場合、翌日再検査を行うためにご来院いただくことがあります。ご了承ください。
インフルエンザの治療
自然治癒を待つか、内服薬による対症療法を行って症状を緩和することが治療法となります。
一般的に自宅療養で安静にしていることで5~7日程度あれば快復します。しかし、持病のある方、高齢者、乳幼児、妊娠している方などは重症化リスクが高いため、お早めに薬物治療を行うことをお勧めしています。インフルエンザの治療薬としては、内服薬、吸入薬、点滴などがあります。
インフルエンザワクチンの接種
予防としてはワクチンの接種が有効です。ワクチンを接種していると、感染しても軽症で済むため、11月から12月半ば頃までに接種をすませることをお勧めします。
扁桃炎
扁桃炎とは主に口を開けると口蓋垂の左右に見える口蓋扁桃の炎症のことです。扁桃の炎症はお子様や比較的若い世代に多く、主に細菌やウイルス感染によって起こります。
扁桃炎の主な症状
- 高熱(38.0℃以上)
- のどの痛み
- 何かを飲み込もうとすると痛む
- 扁桃に白や黄色の斑点が見える
- 耳の下あたりのリンパ節が腫れて圧痛がある
- 倦怠感
など
扁桃炎の治療
ウイルス感染の場合は、解熱や痛みをとる薬を服用し安静にします。その際にしっかりと水分と栄養を摂るようにします。
細菌感染の場合は抗菌薬も処方します。炎症が強い場合は、外来で点滴による抗菌薬の投与を行うこともあります。またのどに薬を散布するネブライザー治療などを行うこともあります。
痛みがひどく食事などが摂れないような場合は、入院を検討することもあります。
注射針で膿を吸い出す方法や切開して膿を排出する方法などもありますが多くの場合は薬物治療と安静で回復していきます。
しかし何度も繰り返したり、重症化して扁桃周囲膿瘍(炎症による膿が溜まってしまう状態)を繰り返したりするような場合は、手術による扁桃の摘出をお勧めしています。
入院・手術が必要なケースでは、当院と連携する医療機関を紹介してスムーズに治療を受けられます。
急性肝炎
急性肝炎の症状
急性肝炎は、何らかの原因で肝臓の細胞が壊れ肝機能に障害を起こした状態のことです。原因としては、ウイルス感染が最も多いのですが、他に薬物や飲酒、自己免疫などによる場合もあります。よくある症状としては、発熱、黄疸、食欲低下、吐き気、倦怠感などの他、触診などで肝腫大を認めることもあります。
軽度の場合は無症状のこともありますので、何らかの不調で医師の診察を受け、血液検査で急性肝炎と診断されることもあります。
多くは自然に治りますが、稀に悪化してしまうことがあるので、黄疸などの症状を感じたらお早めにご相談ください。
急性肝炎の検査
自覚症状があまりないため、他の病気を疑ってたまたま血液検査を行った際に発見されることが多くなっています。
肝炎が疑われる場合、いつ頃から症状があらわれたか、その前後に生肉など特別なものを食べなかったか、飲酒量、どのような薬を服薬しているか、海外に渡航していないか、普段と違う相手との性交渉がなかったかかといった感染経路に関する問診を行います。
また、身体にメスを入れたことがないか、鍼や針をいれたことがないかなどをお伺いすることもあります。
こうした問診である程度の推定をつけた後、ウイルス検査、詳しい血液検査、組織検査、腹部超音波検査などを行って原因を特定し、治療を行います。
急性肝炎の治療
症状が軽い場合は安静にして経過観察を行います。肝機能障害の程度が強い場合、あるいは黄疸が出ている場合などは入院の上、安静を保った上でステロイド薬、抗ウイルス薬などの薬物療法を行うこともあります。薬物性やアルコール性の場合、原因となる薬の服用中止や禁酒にて対応します。
劇症肝炎の場合、生命に危険が及ぶこともありますので、血液交換や肝移植などを行うこともあります。当院では入院が必要な場合は、連携する高度医療施設を紹介しています。
カンピロバクター腸炎
カンピロバクター腸炎の症状
カンピロバクターは感染してから2~5日ほどと、他の細菌による食中毒と比べて潜伏期間が長いことが特徴です。
潜伏期間が過ぎると、主な症状として高熱(38.0℃以上)の発熱、吐き気・嘔吐、腹痛、筋肉痛などがまずあらわれ、その後数時間から2日ほどして下痢となります。下痢は1日に10回以上も排便するほど激しい状態が1~3日ほど続き、その間腹痛も続きます。
抵抗力が低い高齢者や乳幼児などは特に症状が重症化することがあり、注意が必要です。
肉をしっかりと加熱して食べること、触った後はしっかりと手を洗ってからその他の食品を調理することなどが感染防止のために大切です。
カンピロバクター腸炎の治療
基本的には自然治癒していきますので、経過観察しながら、水分補給や食事療法といった必要に応じた治療を行います。
対処療法
高熱と下痢が続きますので、特に脱水に対する注意が必要です。経口補水液、スポーツドリンクなどでしっかりと補水を行います。冷たい水分は下痢を誘発する可能性もありますので、室温のものを摂ることをお勧めします。
また食事は下痢の続く間はできるだけ量を減らし、消化の良いものにしてください。
脱水症状がある場合は、点滴治療などを検討することもあります。
薬物療法
消化機能や腸内環境を回復するための消化薬、整腸薬、乳酸菌薬などを処方します。状態に応じて、抗菌薬(マクロライド系抗生剤)などを処方することもあります。
食中毒による下痢は、腸内の原因菌や毒性物質を早く体外に出してしまうために起こっています。そのため下痢止めを飲むことでかえって菌の排出が遅れてしまうこともあり、下痢が自然に治まってくるのを待ちます。
カンピロバクター腸炎の予防
生食の鶏肉やレバーなどを食べないようにする、焼肉などの場合はしっかり焼いてから食べることが大切です。
調理の際の注意点としては、
- 可能であれば、生肉を扱う包丁、まな板などの調理器具はその他の食材を扱う調理器具と別にする
- 生肉を調理したら、すぐにその包丁やまな板を丁寧に洗浄する
- 生肉を扱った調理器具とその他の食材が触れないようにする
- 生肉を扱った後は、手指などを丁寧に洗浄する。
- 生肉を冷蔵庫で保管する場合は、その他の食品と、はっきりと場所を分ける
などに注意をするようにしましょう。
さらに乳幼児はイヌ・ネコなどのペットから感染するケースもありますので、ペットの糞を触らないように注意しましょう。
髄膜炎
髄膜炎の症状
通常髄膜に細菌が入り込むことはないのですが、体力が衰え、免疫システムがうまく働かないなどの理由で血液内に侵入した病原体が髄膜にも侵入し炎症を起こしてしまうのが髄膜炎です。髄膜炎で危険なのは細菌性のもので、急激に激しい症状がおこり、数時間で意識障害に至ったり、生命に関わる事態になったりすることもあります。
髄膜炎は初期には風邪と同じような症状から始まります。また発熱、嘔吐、頭痛などの症状もあります。化膿性髄膜炎になると重症になりやすく、意識の混濁や痙攣が認められることもあり、さらに進行すると脳炎を併発することもあります。
早急に適切な手当を行う必要がありますので、疑われるような症状がある場合はすみやかに医療機関を受診してください。
髄膜炎の治療
腰椎から脊髄に針を刺して、髄液を採集し、病原体の特定を行い、それに合わせて抗菌薬、抗真菌薬などによって治療を行います。
抗ウイルス薬が存在しないウイルスが原因となっているケースでは、対症療法で熱を下げたり炎症を抑える薬などを投与したりしながら、自然に回復していくのを待ちます。
髄膜炎の予防
髄膜炎を起こしやすい細菌の中でも代表的なものは肺炎球菌とインフルエンザ菌が挙げられます。これらは小児の定期接種ワクチンに含まれていますので、これらを確実に接種することで子どもの感染は抑えることができます。
また肺炎球菌は高齢者の重症肺炎の原因ともなっていますので、65歳以上になったらお住まいの地方自治体などの案内を参考にして予防接種を受けるようにしてください。
熱中症
熱中症の症状
熱中症は、一般的にその重症度を軽症、中等症、重症の3つの段階に分けて考え、軽症の場合は発生現場における治療、中等症の場合は医療施設での治療、重症の場合は高度医療施設での入院治療が推奨されています。
重症度 | 症状 | 対策 |
---|---|---|
軽症 | めまいや失神 大量の発汗 筋肉痛や筋肉の硬直 |
現場で、涼しい場所で安静にする、体表面を冷やす、経口で水分やミネラルを補給する |
中等症 | 頭痛 吐き気や嘔吐 怠感 虚脱感 など |
中等症の症状が顕れている場合、周囲の人がすみやかに病院に搬送し、安静の上体温を下げる、経口または点滴で水分やミネラルを補給するといった治療を行います。 |
重症 | 意識障害 けいれん 手足の運動障害 |
緊急搬送し、高度医療施設で入院治療にて、体表体温、体内体温、血液の温度などの管理、呼吸や心拍などの管理を行います。 |
※横スクロールで全体を表示します。
こんな症状は要注意
周囲の呼びかけに正常に反応できない、ふらふらとして歩行がおかしい(まっすぐに歩けない)、身体がガクガクとけいれんするといった状態がある場合は、すぐに緊急搬送する必要があります。また自分で水分の補給ができないなら、中等症以上の可能性がありますので、無理に飲ませようとせず医療機関を受診しましょう。
熱中症対策
- 体調を整える
- 日射や気温にあわせた服装を
- こまめに水分の補給を
熱中症かもと思ったら(応急処置)
熱中症は重症度によって本人、または周囲の人が取るべき行動が異なってきます。特にⅡ度(中等症)以上になると本人は思ったように行動できないことが多いため、周囲の人の行動が大切になってきます。
軽症の場合はすぐに木陰や屋内など涼しい場所に入り身体を冷やし、水分を摂取することが大切です。もし周辺の人が異常に汗をかいていたり、何もないのにこむら返りなどを起こしたりした時は、すぐに涼しいところにつれていって水分補給などを心がけてあげましょう。それでも改善しない場合は、病院につれていきましょう。
頭痛、吐き気、嘔吐、めまいなど中等症の症状があるときには、すぐに医療機関につれていきましょう。特に吐き気などで水分を摂れない場合、緊急の点滴などが必要なケースもあります。
意識レベルの低下やけいれん、手足の運動障害といった重症の症状に気がついたら、迷わず救急車を呼びましょう。時に集中治療をしなければ生命に危険が及ぶこともあります。
熱中症の応急措置
1.木陰や軒下など日影になっている場所、エアコンの効いた室内などに早急に移動
2.発汗によって失われた水分やミネラルを補給します。水分はお茶や水でも補給できますが、できればミネラル(塩分など)も一緒に補給するほうが回復も早いためスポーツドリンクや経口補水液がお勧めです。
3.きつく身体を締め付けるような衣類はできるだけボタンやジッパーを緩めるなどで通気性を保つようにします。また汗で衣類が濡れている場合は着替えをさせると良いでしょう。
4.身体を冷やすことも大切です。濡らしたタオルやハンカチを首筋、腋の下、足の付け根、足首などに当てて冷やします。
救急車が到着するまでの間に応急処置を行っておきましょう。比較的体力のある人は応急処置で回復したような状態になることもありますが、熱中症の場合、きちんと治療をしないと再発の可能性が高いため、必ず医療機関を受診してください。
尿路感染
尿路感染の症状
尿路感染症は尿道炎や膀胱炎など、腎臓から尿道の出口までの尿路や前立腺、精巣などが細菌に感染して炎症を起こした状態です。
男女で膀胱から尿道口までの長さや形が異なっているため、感染して症状があらわれやすい部位や症状のあらわれ方も異なっています。
男性の場合
男性の場合、多くは性交渉による外部からの細菌感染が多くなっています。
高齢になると排尿能力が衰え、尿勢低下や残尿などによって尿道口から入り込んだ大腸菌などの常在菌を排出しにくくなり、尿道炎から膀胱炎や急性前立腺炎や急性精巣上体炎などを起こすこともあります。
尿路結石が腎臓と膀胱の間で起こっている場合は尿の逆流による腎盂腎炎を発症することもあります。
症状としては、尿道炎では排尿痛、頻尿、残尿感、血尿、前立腺炎では会陰部の痛み、精巣上体炎では精巣の腫れといったものが挙げられます。また腎盂腎炎を起こすと、背中の痛みや血尿、嘔吐などの症状があり悪化すると敗血症などを併発することもあるため、原因となっている結石治療をあわせて行うことになります。
女性の場合
大腸菌など常在菌が尿道口から侵入し、尿で排出されず膀胱に至ってしまい、膀胱炎を起こすことが多くなっています。性行為によってクラミジアや淋菌などに感染し、膀胱炎を起こすこともあります。
症状としては、尿が濁っている、残尿感がある、下腹部に違和感や痛みがある、頻尿、血尿などが主なもので、尿道炎を併発している時には排尿時痛もあります。
そのまま放置していると感染は上部尿路に至り、腎臓まで到達すると腎盂腎炎を起こすことがあります。腎盂腎炎になると高熱を発し、背中の痛み、嘔吐などの激しい症状から尿毒症や敗血症にまで至ることがあり、生命にもかかわってきます。特に糖尿病がある方やステロイド薬を服用している方は重症化のリスクが高く注意が必要です。
そのため、尿の異常を感じたら恥ずかしがらず、しっかりと治療を受けることが大切です。
また、性感染症による尿路感染症の場合も、治療せずに放置することで不妊に繋がってしまうこともあるため早めの治療をお勧めします。
尿路感染の治療
尿路感染症の場合、基本的には抗菌薬による内服治療を行うことになります。膀胱炎、尿道炎、軽度の前立腺炎、精巣上体炎などはほとんどそれだけで完治可能です。
しかし、感染が上部尿路まで至っている場合や、炎症が激しく重症の場合は入院して点滴治療となることもあります。その場合は提携する入院施設のある医療機関を紹介しています。
また、尿路結石や腫瘍など原因疾患がある場合は、その治療も併せて行います。
何かお困りのことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。